

写真からの、油絵肖像画の制作技法を紹介します。

作画行程と、習作における
課題点、ポイントを明確に
することが大切です!

制作技法プロセス|写真から油絵肖像画

技法研究実例|油絵作品1
写真から映画女優(ジェニファー・コネリー)をクイックタッチ(ウェット・イン・ウェット)で練習
技法として一度乾燥させた後に、一度だけ重ね塗り(ウェット・オーバー・ドライ)しました。
透明色をグレーズするのではなく、不透明色を若干ポイントで乗せました。
今回は似せる必要はないのですが、構造的に作品に説得力を持たせることは大切です。
結局、不透明色があまり綺麗に乗らなかったなどの課題は色々残りましたが、この習作はこれ以上は追求しません。
技法研究実例|油絵作品2
こちらも写真から女優の岡本綾さんをモデルに作画しました。
似顔絵ではないので、こちらも似せることには固執していません。
こちらの練習作品もガッツリの肖像画というよりは、油彩スケッチなので、この程度で終了。
この作品の技法も先程の作品と同様に、一度乾燥させてからのウェット・オーバー・ドライをしております。
技法、行程含め、作品1とほぼ同じです。
技法研究実例|油絵作品3
同様に写真から女優の石原さとみさんです。
かなり似顔絵寄りのデフォルメをしております。
技法として写真からトレースして描く有名画家にもいらっしゃいますが、私自身は、写真の様に正確に描くタイプでは無いのでその手法は取りません。
トレースはそっくりに描くには有効で、時間短縮にもなりますので良い面も沢山あります。
実際、トレースで描く為の技法書などもあり、初心者の方でも驚くほど上手に描ける手段の一つです。
ただ、トレースだと良くも悪くも無機的になるので、使い分けはした方が良いかと思います。
こちらも2時間程で一旦終了です。

写真から油絵肖像画|制作技法ポイント

油絵肖像画制作の行程について
個人的には、ディテールを追って写真からリアルに仕上げる感じの作風は追及していないので、
代わりに、光のバランスを追っかける感じになります。
また最近は最初の段階から、技法的にも切れの良い筆捌きでかっこよく残す部分も意識して作画しています。
今回は余りの絵の具を使ったり、油も粘度の高いものだけで描きました。
キチンとした作品作りにおいては、下書き等々、絵を描く前の準備もとても大切です。
同時に、技法を勉強し数枚を描くことや様々なアプローチで練習することも大切です。
ハードルは高いですが頭の中のイメージを作品として完全に再現出来る様にすることを目標にしましょう。
似顔絵と油絵肖像画、人物画の違いは?
普段はプロの似顔絵師、肖像画家として、写真からでも人の表情を描き分けることを必至としています。
しかし、特に人物画の場合、特定の人物を描かないというのも別のアプローチとして有効です。
例えば「婦人像」とか「少女の横顔」の様なタイトルを付けているのを見るとその違いが分かるわけであります。
要は似顔絵はその名の通り、似せることが一番大切で、人物画の場合は必ずしもそこが大切ではないということです。
肖像画に限って言えば、一般的には写真の様に似てる絵なので、技法的にもデフォルメはせずに正確に描く必要があるのかもしれません。
私自身は、印象派の画家が描く肖像画の様に、多少デフォルメされていたり、アーティストの感性に寄った表現が好きです。
似顔絵や肖像画というジャンルは、その描き分ける技術や技術だけでも相当に奥が深いのです。
私の場合は、似顔絵と肖像画の両方を追求してきたことが、人物画を描く上での表現の幅に繋がっていると思います。


こちらの記事は以上です。
最後までお読み頂き
ありがとうございました!
